バイオケミカルTips:RCSB PDB可視化ツールの比較

2020年11月5日木曜日

【バイオケミカルTips】

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本記事では、RCSB PDBで採用されている3種の立体構造可視化ツールを比べてみます。
先日の記事(【バイオケミカルTips】RCSB PDB用語集「3D構造ビュアー(3D Structure Viewers)」)で紹介したように、RCSB PDBの立体構造の表示形式は、Mol*(Javascript)、NGL(WebGL)、JSmol(JavaScript)の3種類から選ぶことができます。
3種の表示形式の簡単な比較を下の表にまとめてみました。


ここからは、それぞれの表示形式についてもう少し詳しく解説します。

Mol*(Javascript)
Mol*(Javascript)は、PDBe、RCSB PDB、CEITECで共同開発された生体高分子専用の立体構造可視化ツールです。巨大で複雑な生体高分子の構造を速く鮮明に表示することができます。マウス操作による立体構造の拡大・縮小、回転の他、画面右側の各種操作メニューから構造の表示/非表示、表示形式(CartoonやBall & Stick、電子密度マッピング等)や色の変更、結合長・結合角の測定、アセンブリ表示、対称軸・ユニットセルの挿入等を簡単に行うことができます。任意の部分について色の変更やラベル付けを行うこともできます。画面上部には塩基配列が示されており、塩基配列と立体構造の対応関係を調べやすくなっています。

NGL(WebGL)
NGL(WebGL)はWebGL(WebGL:ウェブブラウザ上で3Dグラフィックを表示する標準仕様)の一つで、タンパク質とDNA/RNAの立体構造の表示に特化しています。Mol*(Javascript)に比べ、画像の鮮明度と構造の読み込み速度がやや劣りますが、Mol*(Javascript)と同様、マウス操作による立体構造の拡大・縮小、回転が行えます。画面右側の「Structure Summary」タブからは、構造の表示/非表示、表示形式や色の変更、アセンブリ表示、対称軸・ユニットセルの挿入等を行うことができます。「Electron Density Maps」、「Ligand Viewer」タブからは、それぞれ電子密度マッピング、リガンドに特化した操作が行えます。

JSmol(JavaScript)
JSmol(JavaScript)は、分子の立体構造を可視化するためのJava可視化オープンソース「Jmol」をウェブ上で利用できる可視化ツールです。上述の2種に比べ、画像の鮮明度と各種操作に対する動作速度はかなり劣ります。上述の2種と同様、マウス操作による立体構造の拡大・縮小、回転が行えます。画面右側のメニューから、表示する構造と表示形式、色の変更、電子密度マッピングの表示/非表示を選択できます。立体構造が表示されている画面上でマウスを右クリックすると、各種操作メニューが日本語で表示されます(※ウェブの設定言語が日本語の場合)。また、各種操作は画面下の「Scripting Options」へコマンド入力によって実行することもできます。

本記事では、RCSB PDBにおける生体高分子立体構造の可視化ツールを比較しました。目的に合う可視化ツールを活用してみてください。

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